『インシデント』とは、「事象、事件、事例、出来事、偶発的な、入射」を意味する。医療の世界では、「偶発」や「偶然」という表現で用いられ、不幸にして起きてしまった 偶然の失敗 を示す。日常診療の現場でヒヤリ・ハッとした経験に関する報告書である『インシデントレポート』をよく耳にする。企業でいう「始末書」に近いもので、多くの人は悪い印象を持つかもしれない。しかし、裏を返せばある一つの症状の検査で偶発的に様々な所見を見いだすことの出来る チャンス でもあると捉えることができる。


 現代美術という領域は、さまざまな表現媒体があり絶対的な評価軸が決まっていない。受容する側も多様な価値観を伴い正解と呼べる答えを導きだすことは困難である。それぞれの作品には、異なったコンセプトが内在されているが、共通して言えるのは「受容する側の存在を意識している」ということだ。観るものの想像力を喚起するものや意識の幅を調整したり、解きほぐしたりするもの・呼応することで寄り添えるものなど多種多様である。そこには、視覚的な心地よさのためだけにある訳ではなく必ず伝わる意思・意識のズレが孕んでいる。アーティストが作り出した空間の中に存在する作品と対峙することで場所・記録・経験など多くの関係を発見し、体感してもらうことで何かを見つけるチャンス になるのかもしれない。


 本展は、約240年の歴史のある会場「八戸酒造株式会社」で開催する。まちおこし としての芸術祭ではなく、確固たる意思を持ち度重なる挑戦・失敗・逸脱の繰り返しによって物事と真摯に向き合ってきた杜氏や蔵人、湊人、そしてアーティストによる『インシデンツ』という名の アップライジング(決起)である。

INCIDENTS 2015 / インシデンツ 2015

 


2015年1月24日(土)〜2月21日(土)

※日曜休業。ただし1月25日のみ開場。


10:00 −17:00

 

会場:八戸酒造株式会社

(陸奥八仙, 陸奥男山醸造元 旧酒蔵2階)

〒031-0812青森県八戸市湊町本町9 

電話:0178-33-1171 ※アクセスはこちら


入場無料

 

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■参加アーティスト

 

 飯田竜太(彫刻家)

 伊藤二子(造形家)

 黒田潔(イラストレーター)

 佐貫巧(画家)

 嶋崎綾乃(ダンサー)

 田中義久(グラフィックデザイナー)

 藤原彩人(彫刻家)

 牡丹靖佳(現代美術作家)

 吉開菜央(ダンサー・映像作家)

 Nerhol(アーティストデュオ)

 

  アーティストプロフィールはこちら 

 

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主催:INCIDENTS 2015実行委員会

 

協賛:八戸学院短期大学後援会、八戸酒造株式会社、南部電機株式会社

   八戸液化ガス、八戸市(多文化都市八戸推進事業助成)


協力:現代芸術教室アートイズ、八戸学院短期大学、八戸学院大学、

   MA2 Gallery、アートコートギャラリー、

   TAKURO SOMEYA CONTEMPORARY ART、YKG Gallery